古谷 紳太郎(COMMONZ株式会社 代表取締役副社長、博士(学術))
伊藤 義訓(一般社団法人日本エグゼクティブコーチ協会 会長)
現代のビジネス環境は、「解くべき課題が与えられており効率的に正解を導けばよい時代」から「解くべき課題を発見し新たな価値を創造する必要がある時代」へと大きく変化しています。
皆さんは「ピーターの法則」という本をご存知でしょうか?この本では、ある自動車修理工場の優秀な修理工が作業班長に昇進したものの、自らの専門性にこだわるあまり仕事の適切な配分ができず、クレームを招いてしまう事例が紹介されています。有能な技術者が、管理者としては無能になってしまう──これは多くの組織で見られる現象です。(ローレンス・J・ピーター、レイモンド・ハル著『ピーターの法則』より)
この事例が示すのは、「課題解決力」と「課題発見力」の違いです。
組織の階層を上がるほど、求められるのは専門的な課題解決力ではなく、より広い視野で本質的な課題を発見し、新たな価値を創造する力です。特に課題解決力はAIがますます担うようになる中、経営者には「人間のあるべき姿を描きながら複数の専門に横串を指す新結合」の能力が不可欠となっています。
エグゼクティブコーチとして経営者と向き合う際、こうした組織運営や人材開発をどのように支援できるでしょうか。本シンポジウムでは、福沢諭吉、岡倉天心、夏目漱石といった日本を代表する思想家の視点を通して、「内発と外発の関係」や「両利きの経営における探索と深化の使い分け」について考察します。これらの古典から得られる知見は、コーチングの場で経営者の内省と気づきを促し、現代の経営課題に対する新たな視座を提供するでしょう。
リベラルアーツの学びは、コーチングプロセスを豊かにし、クライアントである経営者の潜在能力を引き出す重要な鍵となります。本シンポジウムを通じて、エグゼクティブコーチとしての引き出しを増やし、より深いレベルでクライアントの成長を支援する方法を共に考えていきましょう。
リベラルアーツの学びは、単なる知識の蓄積ではなく、人間理解を深め、本質的な問いを立てる力を養い、新たな価値創造の源泉となるのです。
様々な学問領域と日本の古典的思想家の視点を取り入れ、クライアントの課題をより深く理解するための思考力を養います。
表面的な現象の背後にある根本的な課題を見抜き、経営者自身が気づいていない本質的な問いを促す洞察力を高めます。
福沢諭吉、岡倉天心、夏目漱石の思想を通して、内発的・外発的動機づけの本質を理解し、クライアントのモチベーション向上に活かす方法を学びます。
探索と深化のバランスを取る「両利きの経営」について理解を深め、経営者がこの課題に直面した際の効果的な問いかけやアプローチを習得します。
哲学、文学、歴史などの知見をコーチング対話に自然に取り入れ、クライアントの視野を広げ、思考の深化を促す技術を磨きます。
COMMONZ株式会社 代表取締役副社長、博士(学術)
主な著書
1分間本格教養 リベラルアーツの専門家がつくった超効率的な教養プログラム(ダイヤモンド社、共著)
学校で習った「理科」を面白く読む本(JIPMソリューション、共著)
大学入学時から専門的に学んだ通常の研究者とは異なり、リベラルアーツの学びの上に専門を形成(レイトスペシャライゼーション)した、リベラルアーツを体現する学者。専門は科学史・科学哲学で、古典物理学から量子物理学へのパラダイム転換における科学者の哲学および転換メカニズムを研究し、日本科学史学会賞を受賞。また、リベラルアーツを土台にした学術的知識をビジネスで活用する第一人者で、立教大学ほかで教鞭を取る傍ら、網羅・体系化された学術的知識を武器にコンサルティング・アドバイザリー事業を展開する経営者でもある。その他、STEAM教育の有識者としても活躍する。
2004年 | 国際基督教大学教養学部卒業 |
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2007年 | 国際基督教大学大学院 比較文化研究科 修士課程 修了 日本学術振興会 人文・社会科学振興プロジェクト 研究員 「科学的合理性論」担当 |
2017年 | 東京工業大学大学院 社会理工学研究科 博士課程修了 Molecular Frontiers Symposium 2017 “Science for Tomorrow” Committee Member 東京工業大学 リベラルアーツ研究教育院 特別研究員(~2021) 東京工業大学 非常勤講師(~2020) 立教大学 兼任講師(~現在) |
2019年 | 明治薬科大学 非常勤講師(~現在) COMMONZ(同)設立 代表社員(~2024) 日本科学史学会賞 |
2021年 | 京都大学学際融合教育研究センター学術誌 『といとうとい』 編集委員 一般社団法人STEAM Association 代表理事代行 |
2023年 | 経団連 小路副会長 顧問 |
2024年 | COMMONZ(株) 設立 代表取締役 副社長 |
一般社団法人日本エグゼクティブコーチング協会 名誉会長
国際コーチング連盟認定マスターコーチ(MCC)
中小企業診断士
エグゼクティブコーチとして、独自に開発した『価値観の調和マネジメント』の中小企業の皆様への導入支援と組織開発に取り組んでいます。学生時代に支えて頂いた中小企業の皆様への恩返し・恩送りを胸に、大学卒業以来中小企業支援一筋で取り組んでまいりました。これまで関わった企業数は延べ5,000社を超えます。"経営者一人一人にコーチを"という社会の実現を目指し、『価値観の調和マネジメント』を通して、『幸せ創造企業』の成長と発展に貢献したいと考えています。
1977年3月 | 専修大学法学部卒業(読売新聞育英奨学生) |
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1977年 4月 | 東京信用保証協会 入協 全国信用保証協会連合会企画課長等を経て新宿支店長、創業部長、管理部長等を歴任 |
2003年4月 | 中小企業診断士、エクゼクティブコーチとして活動開始 |
2013年3月 | 銀座コーチングスクール埼玉校・池袋校代表 |
2014年3月 | 株式会社コーチビジネス研究所設立 代表取締役 |
2015年4月 | 淑徳大学講師 |
2015年10月 | 一般社団法人東京コーチング協会 会長 |
2019年12月 | 一般社団法人日本エグゼクティブコーチ協会 会長 |
2024年10月 | 一般社団法人日本エグゼクティブコーチ協会 名誉会長 |
一般社団法人日本エグゼクティブコーチ協会 会長
私は博士課程を修了後、アサヒビールに入社し、研究部門からスタートしつつ、生産、マーケティングなどの多岐にわたる部門で重要な役割を担ってきました。これらの経験を通じ、部門や専門領域を越えた視点の広さと「越境する力」の重要性を体得してきました。 直近では、生ジョッキ缶の開発・発売に携わり、この画期的なプロダクトを市場に送り出すことで業界に新たな価値を創出しました。この成果は、私のキャリアにおける一つの集大成であり、多くのチームメンバーとともに未来を切り拓いた成功事例でもあります。 役員退任を機に新たな挑戦を模索し、コーチングに出会った私は、これまで重視してきたティーチングを超えた、新しい可能性に目を開かされました。内省と自己対話を基盤とするコーチングの力は、個人や組織が変化の波を乗り越え、真に持続可能な成長を遂げるために不可欠です。 私はこれまでのキャリアと知見を基盤に、コーチングの重要性とその価値を一人でも多くの人に届ける使命を担っています。そして、現代の複雑な課題に立ち向かうリーダーやチームが、自らの潜在力を解き放つサポートをしていきたいと考えています。 一般社団法人日本エグゼクティブコーチ協会会長として、業界のさらなる発展に全力を注ぎ、皆様とともに未来を創っていく覚悟です。どうぞよろしくお願いいたします。
1989年3月 | 東京大学農学部農学系研究科博士課程修了 |
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1989年4月 | アサヒビール入社 研究所で商品開発実務 |
1996年9月 | 名古屋工場 |
1999年9月 | 研究所ビール開発部長 |
2000年9月 | マーケティング部(本生でアサヒビールシェアNo1に) |
2006年9月 | 生産本部生産技術開発センター:全社横串で生産技術開発統括 |
2015年4月 | 研究開発本部長 |
2016年3月 | 執行役員 |
2017年3月 | 取締役 |
2018年3月 | 常務取締役(生ジョッキ缶でイノベーション実現) |
2019年3月 | アサヒグループホールディングス執行役員(イノベーション担当) |
2024年3月 | アサヒグループホールディングス役員室顧問 副業としてIToアイ工房合同会社起業 日本エグゼクティブコーチ協会会長 経団連副会長としての小路会長支援(博士人材活用策) |
2025年3月 | I TOアイ工房合同会社 |
現代は多様性の時代と言われます。この多様性を活かせるかどうかが、組織も個人も成長の鍵を握っていると言っても過言ではありません。創造のためには、個々人が内発的な動機に基づく価値観から自分らしさを表現することが不可欠ですが、さらに一歩進んで異質の調和に取り組む必要があります。私たち一般社団法人日本エグゼクティブコーチ協会は、メンバー一人ひとりの個が活かされ、人を幸せにする企業が最も幸せになる『幸せ創造企業』の成長と発展を通して、幸せの輪が広がり、より多くの人々が幸せになっていく社会の創造に貢献したいと考えて、2019年12月2日に誕生しました。
14:45
入室開始
15:00
開会挨拶
伊藤 義訓
15:15
基調講演
古谷 紳太郎氏
テーマ「ビジネスパーソンにとってのリベラルアーツの意義」
16:45
休憩(5分)
16:50
特別トークセッション
登壇者:古谷 紳太郎氏 × 五十嵐 久
テーマ「コーチングとリベラルアーツの接点」
18:00
終了
09:45
入室開始
10:00
開会挨拶
10:15
ミニ講義
伊藤 義訓
テーマ「エグゼクティブコーチングに活かすリベラルアーツの知恵」
10:45
休憩(5分)
10:50
対話セッション(グループワーク)とワークショップ
テーマ「内発と外発の関係、両利きの経営の探索と深化」
テーマ「リベラルアーツの視点を取り入れたコーチング実践」など
12:00
JEAのご案内
12:15
閉会挨拶
12:30
終了
第3回 JEAオンラインシンポジウム
問いの共有が組織の未来を拓く
1日目
2024年7月4日(金)15:00~18:00
入室(Zoom):14:45~
2日目
2024年7月5日(土)10:00~12:30
入室(Zoom):09:45~
2025年6月27日(金)
無料(一回のお申し込みで2日間ご参加いただけます)
300名
一般社団法人 日本エグゼクティブコーチ協会
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